日向の縁側、眠る猫。

真夏の黒猫によるブログ。 ゲーム、漫画などを中心にしています。かなりディープな趣味の方向け。

勝利とはかくも遠い。

従業員の子が、就活で苦しんでいます。

景気が少しずつ上向いて来た、と何度もテレビで聞かされても、我々にはなかなか届いてくるものではありません。

いわゆる「お祈り」を何十社から受けるのは、話を聞くだけでも心が折れそうです。
なので、今日はその子と気分転換がてら食事に出かけました。

ラーメンでも食って元気だせよと。

折角なのでと自分と仲のいい他店の店長が同行。
とりあえず溜まっているストレスを少しでも吐き出させることと、ベテランの他店の店長や同じ悩みを抱える子と話が出来れば、と思っていたのですが話は思わぬ方向に。


テーブル席に座るやいなや、用意していたのか履歴書を自分に渡してくる山下(仮名、就活中の子)



山下:黒猫店長、ちょっとこれ見てもらっていいですか。



猫:あ、ああ。ええけど・・・。
バイトしか面接したことないからあんまり的確なアドバイスが出来るかどうか。



それにしても、まだまだヤル気なのは素晴らしいです。



山下:思うところだけでいいんで。



猫:・・・?これ、パソコンで作ってるんや。



山下:はい。



猫:・・・あー。



山下:手書きの方がいいと。



猫:まぁ、一概にはなんとも言えんがなぁ。



山下:いや、今の時代こんなん一杯ありますって。他のやつもパソコンで作ってますもん。
何より何十社も出すなら手書きするよりその時間で志望動機をしっかり書いたほうがええですよ。



猫:まぁ、言いたいことは分かるんやけど、なぁ。


微妙な表情なのが自分でも分かりました。
実は最近はパソコンで履歴書を持ってくるアルバイト志望もちらほら見かけるからです。
ネットの就活生の事情も見かけます。
内容を見るとかなり山下も頑張ってるし、あんまりバッサリ言いたくないなー、と。

それを見てとったのか、もう一人の店長、乾(仮名)さんが言います。


乾:言うたったらええんちゃう。いつも大体
黒猫さんなりの答えは片寄ってるけど間違ってないと思うし。


猫:うーん。


山下:あ、なんかアドバイスがあれば欲しいっす。


猫:あー、まぁ。思ったことを言うけど。
参考程度にしてな。あと俺は相当変人で、考え方が片寄ってる。それを前提に。


山下:・・・はい。


猫:根本的に考え方が違う。


山下:え。


猫:順番にいこうか。

この問題の一番根っこにあって、山下の考え方が違うと思う部分やが、学校の入試と会社の入社を同じように考えてしまってる。


山下:いや、それはさすがに。前から猫店長に言われてたし、金を貰うのと払うのとはまるで違うて。


猫:うん。理屈としては。
でもやってることが合ってない。
履歴書がパソコン書きやったことは別にいい。
ただ、その答えがマズイ。


山下:何がでしょう。


猫:学生の視点なら、山下の言うてることは間違いやない。就職活動のシステムもどうかと思うし山下は頑張ってると思う。
ただ、これは就職活動やねや。


山下:でも、手書きしか認めへんみたいな企業はブラックとかあんまりいい感じしませんけど。


猫:うん。そこ。

逆の立場になって考えたことある?
面接する人事の社員がどんな立場なんか。

終身雇用の問題とか、昇給とかややこしい話は脇においといて、正社員を一人雇用すると年収300万とするわな。

300万×40年として、ざっくり1億2000万。
教育費やら何やらを抜きにしても、正社員を一人雇うのはそういう意味や。


会社の命令によって、1億2000万の買い物をしなさい、と言われてる人たち。それが人事部。厳密には採用担当。
数回の面接っていう極めて少ないヒントだけで、そんな決断をせなあかん大変な部署や。
だから彼らからすると、履歴書ひとつとっても重要な情報源やねん。
実際問題うちの会社でも、毎年何人かは「なんであんな奴採用しとんねん」て言われる社員は必ずおる。


で、この国は資本主義なんやから、面接の構図としては「将来1億2000万以上の価値がある労働力・山下を企業に販売するプレゼンテーション」と考えるわけや。



山下:あー、まぁわかります。


猫:はい。ここで例え話。

ここにメロンがあります。
メロンの横に、説明用のカードがついてるとしましょう。


①メロンの栄養素が科学的に分析されてこと細かく書いてあるカード

②無農薬で一生懸命育てた農家のおっちゃんの写真、生産業者と生産者の写真入りのカード


いい悪いは別にして、売れる可能性があるのはどっちのカードがついたメロンやと思う?


山下:②・・・。



猫:ではもう1つ。

ここに1台のパソコンがあります。


①パソコンのスペックをこと細かに書いたカード

②パソコンを製作したおっちゃんの顔写真入りカード

売れるのは?


山下:①・・・。


猫:せやな。全ての企業に一律同じように履歴書を送るのがよくない。
どういった業界か。他の就職活動をしている人の履歴書はどうか。
手厳しいかもしれんけど、ライバル多数で自分が勝たないと駄目な場合は確率をいかに高めるかが勝負とちゃうかな。


山下:でも流石に100枚とかになってくると・・・。


猫:問題はそこやな。きつい言い方かもしれんけど、山下が履歴書を何枚書こうがそんな話はどうでもええねん。
100枚書いた。100社回った。何km歩いた。
社会人になるという以上、申し訳ないが関係ないねん。


山下:うー。猫店長の時より大分状況が・・・。


猫:それもやけど。今現在、いわゆる「社蓄」と言われている人間が、本当にそこまで無能か考えたことあるか?
俺らの時代、しかも底辺とか言われている外食やけど、それでも3000人以上の応募先から50人の合格者やで。

他の企業のサラリーマンかてそう。
このド不況の中でなんとか会社の中で生き抜いて、かなり下がった年収をなんとかやりくりして家族を養ってる人もおる。

毎朝コンビニで会う茶髪の建設業の兄ちゃんたちかて、こんな社会で頑張ってるのは充分尊敬に値する。

そう思わへんか?


山下:はい・・・。


かなり神妙そうな表情でした。
こうなるからあんまり言いたくなかったのに・・・。


猫:あ、あのな?説教とちゃうねんで?履歴書の中身はいいと思うし、色々あの手この手で頑張ろう!


わざとらしいフォローと、それを横目で見る乾店長。


乾:猫店長、きっつー・・・。


いや、お前も言えって言うたやん!






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  1. 2014/06/11(水) 23:50:11|
  2. あなたの知らない外食産業。|
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